10年前と、9年前と、7年前と。叶わぬ夢と、今思うこと。最後のエイトカテゴリー

同じ夏は二度と訪れない。 わたしはそれを知っていて、懐かしむのだ。 そう、10年前、きらきらを見つけたあの夏の日を。 9年前、きらきらを失くしたあの夏の日を。 7年前、きらきらをみんなで見つめたあの夏の日を。 手のひらから零れ落ちていく砂のように、 二度と戻らない、そんなことすらも知らなかった、純粋すぎたあの夏の日を。 今更後悔したって遅い。 ましてやわたしはその道が辛いといって自ら離れたのだから。 どれほどみんなに会いたくても、同じ瞬間は戻ってこない。 こんなに鮮明に思い出せるのに。 過去に戻れるなら、と思うことも多々ある。 あの瞬間を、あの夏の日を、痛いほど焼き付けたい。 でもそれは、もう叶わない。 みんなでひとつの夢をただひたすら追いかけた、その追いかけていたたったひとつの夢がなくなってしまったのだもの。 きっと明日は、きっと明後日は、そう期待することにも疲れて、だんだん信じる人も少なくなって、少しずつ期待が壊死していって、無かったことにされてしまった。 それでも、はちがついつか、今日という日は、わたしのたからもの。 はちにんからもらった、最後のたからもの。
みんな、元気にしてるかな。 みんなと駆け抜けた、あのきらめいた世界はほんとうに楽しかった。 見るもの触れるものすべてが輝いていて。 後悔はしない、でも、懐かしんだっていいでしょう、もう少しだけ、あと少しだけ。 そうしたら、ちゃんと、前を向くから。 振り返りはしない。 立ち止まってみるだけ。 あの輝かしい日々は、戻らないとわかっているから。 刹那に生きるのは苦しいね。 しあわせだったぶん、よけいに。